昨日の夜のTVは2画面にして、「上海F1」とNHK BSの「石油:1億6千万年の旅」を見ていたから、ハミルトンがあんなことでリタイアした時も、僕は今の石油文明の危機を意識していて、F1と相反する番組を見ているのが皮肉だと思った。NHK BSのドキュメンタリーはオーストラリアのABCが作成した「The Incredible Journey of Oil」で、この作品は英語だけどウェブサイトで見る事が出来る。→ ABC:The Incredible Journey of Oil。
僕の頭に残ったのは、ジュラ紀に埋め込んだ大量の二酸化炭素を150年前から僕達人類が解き放っているっている事。この2億年間、そんなことをしでかした文明がないのに、僕達の生活はジュラ紀のニ酸化炭素を解き放すことが全ての基礎となっている。石油なしではこの世界が存在しないしくみにしてしまった事。その石油も1960年代をピークに枯渇に向かっている事。ガソリンの価格がいくら上がってもその消費は減らないだろうことは僕自身の態度からもすごく理解できる。しかし今の4倍の価格でヨーロッパ旅行をするのを躊躇するように、石油価格の爆発的な値上がりで世界の一体感はどんどん薄れて行くだろうし、温暖化による異常気象による被害と、最終的にはジュラ紀と同じ気象が戻ってくるとしたら、それが300年後だとしても、地球を人類が住めない星にしたのは僕達になる。今の時代このあたりまえの事実を強く危機と意識させてくれたこの番組は素晴らしいと思った。自由な移動手段が必要なんて言っていられる状況だろうか。
・豊かな石油時代が終る
・石油ピーク
・もったいない学会
・バイオ燃料の愚
NHK BS番組案内より:その頃(ジュラ紀)、地球上では地殻変動に伴う火山の噴火が相次ぎ、大量の二酸化炭素が大気中へと放出されていた。その温室効果により海面の水位が上昇し、現在のアラビア半島がある付近には、暖かく浅い海が広がっていた。そのラグーンで異常発生した植物性のプランクトンの死骸が、長い年月をかけてゆっくりと海底に積もっていくことで、有機物を大量に含んだ地層が出来上がった。その地層が、再び長い年月をかけて地面深くに沈んでゆき、高温高圧の条件の下に置かれることで、ようやく油田が出来上がる。石油はいつ、どこでも生成されるものではなく、ある一定の条件が揃ったときに生まれる偶然の産物。そのため、埋蔵量の70%がアラビア半島に偏在していると番組は説明する。
産業革命後、人類による石油の大量消費時代を迎える。1859年、エドウィン・ドレイクがペンシルバニア州に油田を掘り、世界で初めて石油の商業生産を開始。1879年 エジソンが電球を開発、1896年 フォードが自動車を試作と、石油は時代の波に乗り、瞬く間に、世界中の産業の根底を支えるエネルギーとなっていく。生物が何千万年もの年月を費やし、大気中の二酸化炭素を少しずつ固定化することで蓄積してきた化石燃料を、人類は、わずか150年の間に急速に燃やしつくし、膨大な量の二酸化炭素を大気中にばらまき続けてきた。その結果、急激に地球温暖化が進み、世界各地で気候大異変の兆候が始まった。しかし、暖かな海と過剰な二酸化炭素という条件は、太古の時代に石油が生まれた時代の気候と合致する。つまり石油の終焉は、新たな石油生成の始まりでもあるのだ。地球は温暖化と氷河期をくり返し生命を育んできたが、石油はその一翼を担う重要なファクターだ。地球環境は今、大きな転換期にあり、それが激変となるか、緩やかな移行となるかは、人類の出方に託されているのだ。
コメント