雨の夜のビートルの中は、桜の香りも雨の香りもない、ラジオから流れるセンスのない音楽はただうるさい。
だけど、僕が意図して選んだわけではない音楽が奏でる世界に放り込まれてはじめて、その未知の音に気持ちが共振するときがある。
今夜、通りの並木の枝から落ちる雨滴が幌にあたる音と、僕に共振した不意の音楽と、新しい想像の僕の世界を生み出す音楽と、僕が、融合する。
何年も前の懐かしい風景を思い出す音楽を聴きたいと全く思わない自分がいる。過去への感傷なんてない、僕が顔を向けているのが前であるのが分かる。
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